「死んでいった君へ、、、。」

「あの時、死んでいたらいいのか今でも分からない。ただ今生きているのは、君を想う人を存在させるだけかもしれない」

2014-09-28から1日間の記事一覧

序章 愛する君へ

ルカ、君がいなくなってから、もう18度目の夏が来る。僕の机の上は、その時々の気分で本棚から取り出された書物で埋まっている。写真立ての中の君は、いつまでも18歳の、あのときの笑顔のままだ。人生で一番可能性があって、輝いている時。そして横には…

1、進路と絶望

高校3年の時、僕は殆ど不登校であったが、2年の時の素行の良さと最低限の出席日数で、なんとか高校を卒業できた。大学に受かる自信も無く、専門学校でやりたい事も無いので、僕は進学をせずに、何をやっているのかもよく分からない会社で、アルバイトとし…

2、初めてのOD、薬、自殺未遂。出会い

僕は7月の終わりの昼頃、新しい仕事を探さなければならないのに、また同じような経験をするかもしれないと二の足を踏み、求人に応募することが出来なかった。 ある日の夕食中、父に「早く仕事を見つけろ!」と怒鳴られた。僕は精一杯の気持ちで、「出来ない…

3、精神科入院生活

僕達が出会ったのは、北海道の短い夏の8月の初め。青空をキャンパスにして、大きな綿菓子の様な雲と太陽の光のコントラストでとても天気の良い、大きな病院の開放病棟だった。普通、自傷他害のある患者は閉鎖病棟に入れられる。しかし僕が入院した病院は、…

4、過去、鬱の兆し、裏山の景色

ある時、僕は6階で陣取ってテレビを見ているルカに会いに行って話していた事がある。中学生だった時の事。僕の中学の時はね……。 僕は、授業が終われば、サッカー部の副キャプテンとして部活にでて、休みの日は、友達と遊ぶ毎日だった。今思えば、あの頃は何…

5、生きる意味について、退院

ある日、曽根さんに、「ルカちゃんもアムカするの?」と聞かれた。「いや、しないよ。」と僕が言うと、「腕に包帯巻いていたよ。アムカじゃないのかな?」と言った。ルカはOD をしても、アームカットはしていない。僕は確かめる為に会いに行くと、「結構すっき…

6、束の間の幸せ、永遠と思えた日々

僕とルカは一緒にいるときは精神的に健康だった。これは恋愛の高揚感が根付いている「鬱」の症状を隠しているのであろう。そして、帰ってきて1人になるとまた調子が悪くなる。僕はその気分をブログで吐き出す。 9月3日12時30分「最近、ダメです。時間…

7、最後のメール、君を失った日。

鬱病は適切な治療を受けないと、なかなか治らない。治療をしてさえも、半数近くの患者は慢性化してしまう。僕の記憶が正しければ、哲学者キルケゴールは「死にいたる病」という本を書いた。内容はわからないが、まさに「鬱」は「死にいたる病」だと思った。…

8、これからの生き方

結局のところ、僕は生きることも、死ぬと言う事も知らないで生きてきたんだ。「守ってやる。」だの「生きていこう。」だの考えてみたところで、好きな女の子一人満足に生きる事すら、させてやることが出来なかった。ただ周りの目ばかり気にして、格好つけて…

9、明日に向かって

ルカ、あれから18 年経った。僕は36 歳になった。どんどん君との年齢が離れていく。もう君から見たら、おじさんの歳だろう。僕は君の誕生日は知らない。君も僕の誕生日を知らなかったろう。長い付き合いではなかったから、誕生日すら聞くことも無かった。2…